苫小牧市美術博物館の考古学の収蔵庫には、苫小牧市内にある311カ所の遺跡から出土した資料数万点が収蔵されています。土器や石器のほか、数ミリほどの小さい動物骨など多様で、そのすべてが数千年前の苫小牧にいた人々の暮らしを物語るものです。
今回の企画展の資料の中から、「学芸員お気に入りの資料」コーナーにある考古学の資料についてご紹介いたします。
皆さんは昨日の夜ご飯に何を食べたか覚えていますか? 覚えていない方でもごみ箱にあるごみなどを見たら思い出すかと思います。同じように昔の人たちがどのようなものを食べていたのか、当時捨てられたものから想像することができます。
本来、魚の骨などの小さい骨はなかなか残りづらいのですが、貝殻や骨が大量に捨てられた貝塚と呼ばれる場所ではこうした細かい骨が残り、より正確に何を取って食べていたのかが分かります。骨はそれぞれ部位ごとに分けて、さらに種ごとに特徴を見つけながら分類していきます。取れる魚から当時の人々が住んでいた周辺の環境や、季節ごとの食生活などさまざまなことが分かっていきます。
展示されている骨は、縄文時代前期(約5000年前)の静川22遺跡の貝塚から見つかったニシンの骨です。この貝塚の主体を成しているのはニシンの骨で、当時のヒトがニシンを多く取って食べていたことが分かります。数千年の時を超えて残ったニシンの骨から当時の食生活を想像して見てください。
(苫小牧市美術博物館学芸員 岩波連)