講義

  • 特集, 記者コラム「風」
  • 2022年12月7日

  「2ページ目を開いて」と講義のように始まった取材。苫小牧市内の万葉集研究サークル「さわらび会」が36年間の活動に終止符を打つと聞き、講師の森山弘毅さん宅を訪れた時の一幕だ。

   同会は今月、活動の幕を閉じる。森山さんの体調がここ数年思わしくなく、息子の住む東京へ転居するためだ。同会の取材経験のない記者が記事を執筆することに不安を抱きながらも、最終例会直前の11月下旬に訪問した。自宅の机には数多くの資料とレジュメ。創立当初からの会員と森山さんの教え子もスタンバイし取材という名の講義が始まった。

   数枚にわたるレジュメに目を通しながら、森山さんの言葉に耳を傾け、創立時からの36年間をたどっていく。「授業受けているみたいだね」と笑い合いながら、約3時間にわたる講義が終了した。

   初めての取材が最後の例会という寂しさもあったが、「先生がいなかったら、さわらび会ではない」との教え子の言葉が今になって染みてきた。(樋)

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