納骨

  • 特集, 記者コラム「風」
  • 2022年10月26日

  10人乗りのワンボックスカーには、運転手の小生を含め4人が乗車した。白布に包まれた5人の遺骨も一緒。「乗る人は少ないけど魂はほぼ定員だね」。そんな冗談を言いながら、フェリーへと乗り込んだ。

   例年より1カ月ほど早く、恒例の青森墓参に出掛けた。別の車に乗った4人と共に親戚宅を行脚し、道中の道の駅に立ち寄って特産品を買う。墓参を盾にした観光ツアーだが、今回ばかりは少々気合が入る。

   納骨だ。去年まで一緒にツアーを楽しんだ元機関士、小生のスケート靴をいつも研いでくれた元スポーツ用品店店主、白血病になりながら「将来は医者になる」と最後まで明るく振る舞った少年―。それぞれの生きた証しを下は34歳、上は90歳のツアー参加者たちが骨壺から取り出し、墓に納めた。

   「ありがとう」「もうすぐ行くから待っててね」「嫌だって言ってるよ」。送る言葉も人それぞれ。来年もツアーが無事開催できますように。(北)

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