シシャモ漁

  • 特集, 記者コラム「風」
  • 2022年10月19日

  今月上旬、むかわ町の鵡川漁港で鵡川漁業協同組合によるシシャモ漁が始まった。陽光を浴びて銀色に輝く魚体の初水揚げに港は活気づいた―。と言いたいところだが、のぞいてみると、この日獲れたのは籠の隅っこに数えるほど。地元の漁師が「これじゃ、話にならないよ」と嘆く。

   町のシシャモは「鵡川ししゃも」のブランドで知られ、この時期には町外から多くの観光客がその味を楽しみにやって来る。

   しかし、近年は記録的な不漁に陥っている。2019年に38・3トンだった漁獲量は20年に3トンに減り、昨年は1・4トンにまで落ち込んだ。今年の漁初日もたった3キロと驚く数字でスタートし、その後も回復の兆しは見られない。海水温上昇などさまざまな原因が推測されるが、漁業者は現状に戸惑うばかりだ。

   水揚げ量の減少によって希少価値だけが高まり、いずれ庶民に手の届かない魚になるのではと心配される。対策を見つけるまでには時間がかかるが、回復を期待したい。(石)

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