苫小牧市と広島市の共催で7月30日~8月21日に苫小牧市文化交流センターで開かれたヒロシマ原爆資料展に、その絵はあった。
1945年8月6日、広島への原爆投下で地獄と化した光景を地元高校生が被爆者から聞き取り、描いた。炎に包まれた建物の下敷きになった女の子が、逃げようとする少女に手を伸ばしながら叫ぶ瞬間を表現した絵も。その悲惨な様子に思わず息をのんだ。
悲劇は繰り返されるのか。ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領が、核兵器使用もちらつかせる。非核三原則を国是とする日本でも安全保障として、米国との核兵器共同保有を堂々と主張する国会議員がいる。
核兵器を備えることで、各国に使用をためらわせる「核抑止」の議論を聞くたび、世界はまた核軍拡に向かうのではと不安を抱かざるを得ない。「武器で平和は得られない」と語る市民もいる。いま一度、広島の高校生らの絵にも表現された戦争の愚かさに目を向けたい。(河)