支笏湖に北海道最初の有料道路(支笏湖畔有料道路)があったことを知っていますか。
国道453号支笏湖温泉―幌美内間の湖岸道路で、その名残は支笏湖温泉街を出てすぐ湖岸沿いにある駐車帯と、幌美内にある支笏湖駐車場です。両所には料金所がありました。
札幌―支笏湖間の道路建設構想の始まりは1948(昭和23)年11月に千歳町が道に提出した「支笏湖方面道路実地調査方お願いについて」と、翌年4月に札幌地方総合開発協議会(札幌市など9市町村)と千歳町による「支笏湖観光産業道路開設について請願」です。49年5月に迫った支笏洞爺国立公園指定を見据えての動きです。道路開削は56年から始まり、58年に札幌・石切山―丸駒間(幌美内)が開通しています。
幌美内―湖畔(現支笏湖温泉)の着工は63年春でした。工事は山側を削るのではなく、湖岸の水中に基礎コンクリートを打ち込んでブロックを積み上げる工法です。札幌から支笏湖への観光ルート確立に加え、すでに決まっていた札幌オリンピック(72年)を考慮した異例の速さで工事が進められ、67年9月に完成しました。有料区間総延長6970メートルで同月20日に開通式が催されました。料金は普通乗用200円、路線バス400円、貸切バス500円、軽自動車50円でした。無料開放(有料道路事業廃止)となったのは起債の償還を終えた84年4月からです。
ところで、筆者はこの有料道路開通直前の9月14、15日に、部外者として初めて全線を歩いています。まだ高校1年生の時で、所属していた苫小牧東高校山岳部の活動として14日に温泉街から幌美内まで、15日は恵庭岳登山を終えた帰り道です。13人がそれぞれ20キロ余りの荷を背負って3時間ほどかかりました。
(支笏湖ビジターセンター自然解説員 先田次雄)