釣り人がロックフィッシュ(根魚)の”聖地”と呼ぶ室蘭港。7月に入って苫小牧地域はサクラマスがほぼ終わり、カレイは投げ釣りの大敵フグが岸寄りしたこともあって夏枯れの様相。一方の室蘭港は、夏でもソイやアブラコ(アイナメ)などの根魚、難易度の高いヒラメも狙えるだけに、大物狙いのロックファンをはじめ家族やカップルもハイキング感覚で釣りを楽しむ。先週末の午後、室蘭港の人気ポイントを訪ねた。
穏やかな海風が吹くと湿った空気の影響で曇天になりがちなこの時期。室蘭港の港口に近い祝津埠頭(ふとう)、南防波堤周辺は時折、霧雨が交じるあいにくの天気。それでも週末の午後とあって本格的なロックファン以外にもカップルや子ども連れ、ベテラン風の釣り人などが思い思いの釣り方でさおを出していた。
白鳥大橋直下の南防波堤で根魚を狙っていたのは、恵庭市の50代の男性。防波堤の水路側と白鳥大橋の橋脚側の両方を、ソフトルアー(ワーム)を使い根掛かりのリスクを軽減できるテキサスリグ、フリーリグで丹念に探っていた。
釣り方を見ると、仕掛けを投げてはさおとリールを使って海底や底層でワームを巧みに動かしたり、泳がしたりし、魚のリアクションを誘うようにアピールしている。防波堤周りは消波ブロックや直下の海底に被覆ブロックが敷かれており、根掛かりを外す動作が頻繁に繰り返される。根掛かり覚悟のいわば攻めの釣りだ。
声を掛けると、午後の2時間程度で27センチのシマゾイを1匹上げたという。「アブラコの50(ゴーマル)クラスも掛けたが、取り込みにしくじった。たも入れに手間取りリーダーが切れた」と悔やしそうだった。
男性が使っていたワームは、エビやヤドカリといった甲殻類を模したタイプでサイズは2インチ、色はナチュラル系と派手なオレンジ系。シンカーは14グラムと21グラム。「アブラコは日中がいい。ソイやガヤは夕方から活性が上がり、サイズもよくなる」と話していた。
室蘭港では夜釣りで本格的に根魚を狙う釣りファンも多い。これからは、夏魚の女王とも呼ばれるアナゴ(ハモ)も夜の投げ釣りで本格化する。この日も祝津埠頭や南防波堤周辺の岸壁では、日中はカレイ、夜はアナゴ狙いの投げ釣りの人の姿も見られた。