地球温暖化や気候変動をもたらすとして、二酸化炭素やフロン、メタンなどの温室効果ガスの削減が求められています。そんな中、環境省は過日、国内の温室効果ガス排出量が7年連続で減少したと発表しました。全国各地で再生可能エネルギーの導入が進んできているのを感じます。
ここ千歳市も今年2月に「ゼロカーボンシティ」を宣言し、3月末には環境省が支笏湖地区を「ゼロカーボンパーク」として登録するなど、この地域も一気に脱炭素化への取り組みが加速しています。
ゼロカーボンパークとしては、阿寒湖温泉に続き道内2番目、全国でも6番目の登録となります。支笏湖地区は、王子製紙の水力発電所から電力の供給を受けていることもあり、二酸化炭素を排出しない電力を使用しているという点では、環境に配慮した観光地づくりを行うには適地といえるでしょう。また、この地域は環境保全への住民意識が高く、年に数度、国道や湖岸を中心に地域住民による清掃活動が行われ、地域で一番大きなイベントである氷濤まつりにおいても自然に優しい資材を活用するなどの取り組みが既に始まっています。
ビジターセンターもゼロカーボンへの取り組みが進んでいます。施設の照明は全てLED(発光ダイオード)化され、新たに太陽光パネルの設置やそれを効率的に使用するための蓄電設備が設けられました。今後は暖房設備の灯油ボイラーから地中熱を利用したヒートポンプへの変更や、電気自動車用の充電設備の新設も計画されています。
こうした一つ一つの取り組みが支笏湖の魅力となり、観光地としてのブランド化にもつながっていくことが期待されています。
先人たちが大切に守ってきた支笏湖は、日本一大きな琵琶湖の4分の3もの貯水量を有します。この豊かな支笏湖の水が千歳川となり、今日もその水を利用してクリーンな電気がつくられています。支笏湖の新たなまちづくりが始まっています。
(支笏湖ビジターセンター所長 木林正彦)