カワサバを飼育しています―。そんな電子メールが苫小牧市内の澄川小学校(前田直樹校長)から「釣り倶楽部」に届いた。3日付本欄の「釣りひと語り」で、苫小牧の鎌田国孝さんが日高で釣ったイワナとヤマメの交雑「イワメ」の思い出を紹介したのがきっかけ。釣り人がイワメ、カワサバと呼ぶ交雑魚は希少な上に自然の不思議に満ちている。児童が育てている魚を見ようと10日、同校を訪ねた。今週は「釣りひと語り」番外編。
情報を寄せてくれたのは理科教科担任の宮脇公治教諭。昨年9月3日、同校から900メートルほど東にある川沿町の小糸魚川の親水公園でカワサバを捕まえた。
当日は3年生(83人)の総合学習「川の学習―小糸魚川探検隊」で、児童は小型の網を使って川岸や根周りを丹念に探り、カワサバ1匹のほかヤマメ、カジカ、ドジョウ、エゾトミヨなど合わせて10匹以上を捕獲。一部を観察学習や新聞作りなどのため学校に持ち帰って飼育した。
渓流魚を室内で育てるのは難しい。しかしカワサバも環境に順応し、当初はミミズなどの生き餌を与えていたのが、今では金魚用の餌が主食。エアポンプを設置した水槽の中で活発に泳ぎ、児童らが餌をあげると勢いよく浮上して水面を跳ねるように餌をくわえていく。人にも慣れ、強い生命力を見せ付けている。
取材に応じてくれた布施賢昇君、成田啓輔君、髙橋凛空君によると「カワサバは一緒に入れた他の魚を食べちゃう。だから今は1匹で育てています」とか。カワサバの呼び名は「ボス」で、日直や班単位で児童が餌やりを担当している。
宮脇教諭は「小糸魚川は校歌の歌詞にもある川。豊かな環境が身近にあることに気付いてくれるとうれしい」と話す。国語の学校自慢の単元や作文、個人のまとめ新聞でカワサバを取り上げた児童も多かった。
3人の児童の中で釣りをしたことがあったのは1人。魚を取ったり、育てたりの経験はきっと、自然を大切にして釣りや魚を愛する人をつくると願いながら、学校を後にした。