独特の絵柄とブラックユーモアをこれでもかと詰め込んだストーリー展開で人気の漫画家、漫☆画太郎氏が、「ガタロー☆マン」名義で手掛けている絵本シリーズが好きだ。
登場人物は不気味な姿で描かれ、鼻水を出したり、おならをしたりと下品な振る舞いばかり。それなのに、なぜか読みたくなる不思議な絵本だ。
誠文堂新光社からこれまでに3作刊行しており、最新作は今年2月発売の「てぶ~くろ」。森の中でおじいさんが落とした手袋に、動物たちが次々に入っていくという物語。福音館書店から1965年に発行された「てぶくろ」と同様、ウクライナの民話がベースとなっている。
この絵本の特に好きなところは、小さな手袋に動物がぎゅうぎゅうに詰まっている描写だ。満面の笑みで譲り合い、共生している動物たちは非常にシュールだが、「現実社会もこうあってほしい」と願ってしまうような平和で優しい雰囲気に満ちている。
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