七条大滝 いてつく寒さで「真っ白な宮殿」 来月まで鑑賞ツアーも

  • 支笏湖日記, 特集
  • 2022年1月14日
つららによる「真っ白な宮殿」と化した七条大滝=4日ごろ

  支笏湖の東側を通る国道453号線からさらに東へ3キロほど国有林内を歩いて進んでいくと、聞こえてくるのは川のせせらぎ以上にとどろく大きな水音。「七条大滝」のごう音です。

   名前の由来ですが、なぜ「七条」というのかというと、滝の近くを通る林道名から取って名付けられたということです。滝の落差が16メートルもあることから「大滝」と呼ばれるようになりました。水源は湖周辺。滝は苫小牧市内を流れる勇払川の源流部にあります。

   16メートル上から緩やかな弧を描いて勢いよく流れ落ちる滝の姿は美しく、滝つぼをたたくように大きな音を響かせ、迫力も満点。

   夏は、滝つぼに立つミスト状の水しぶきが周囲の森の緑と相まって清涼感あふれる空間になりますが、今の冬はというと…

  「つららの宮殿、大完成!」

  つららが岩壁一面に広がって大きな造形が出来上がっていますよ。

   今季は昨年の12月下旬からの冷え込みで例年よりも早い時期の今、見事に凍りました。凍るといっても滝自体は凍らずに、その周囲の岩壁から染み出す水が凍っています。高さ16メートル、幅約40メートルの岩壁一面が氷・つららで覆われる姿は「真っ白な宮殿」と見まがうよう。先日私はその姿を目にしたとき、意識が目の前の光景だけに集まり、美しさに見とれ、ごう音も耳に入らず別空間にトリップしたような感覚にとらわれました。

   実は1月上旬にこれほど氷が着くのは冷え込みが続く年だけです。氷点下の時間が多かった年末年始だったので、「いつもより氷が着いているだろう」と少々の期待を込めて訪れてみたのですが、期待をはるかに超えての氷の発達ぶりに、仰天しました。土色の岩壁をすべて覆い隠した滝の光景が、真っ白で美しい空間をつくり出していました。その日は朝日を浴びてツララが落ちていたり、まとまった氷の塊がゴゴーッと大きな音を立てて見ているそばから形が変わってしまったりしましたが、冷えが続けばしばらくは「真っ白な宮殿」が見られることと思いますよ。

   支笏湖温泉旅館組合が主催する「スノーシューウオーキング・氷結した七条大滝の鑑賞ツアー」が2月16日までの毎週水曜日に開催されます。ガイドは私たちビジターセンタースタッフです。氷の状態は今最高です! 私たちと森の中の滝を訪れませんか? 申し込みは温泉組合事務局の宿泊施設「休暇村支笏湖」まで。

  (支笏湖ビジターセンター自然解説員 吉田香織)

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