12月1日夕方、NHKのニュース番組内で、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターの傷病鳥獣救護の取り組みや市内小学校への出前授業などを特集として取り上げていただきました。その反響には驚くばかりで、放映直後から多くの方々からの温かなメッセージや応援の言葉をいただくことができ、私たちの活動の大きな支えと励みになりました。ありがとうございました。
さて、師走も半ばを過ぎました。大掃除やお年賀など、この季節ならではの準備で皆さまも忙しくされているのではないでしょうか。当センターの救護室も、例年この時期ならではの支度で慌ただしくなります。それは、傷病鳥の引っ越しです。
当センターには現在、8種11個体の傷病鳥がいます。いずれも車や建物への衝突事故によるけがが原因で自然復帰できない個体です。この中には、夏鳥(春から初夏にかけて渡来し繁殖し、秋に南方へ渡る鳥)のアオバト(ハト目ハト科)が2羽とトラフズク(フクロウ目フクロウ科)が1羽います。普段は屋外で飼養しているのですが、冷え込みが厳しくなる季節、野生個体のように温かい地方へ渡ることができないため、当センターの夏鳥たちは、屋外から屋内へと移動します。
そして春を迎えるまでの約5カ月間、新たな環境で過ごすのです。そのため、この時期はどの個体をどこに移すか慎重に検討を重ねます。なぜならば、環境が変わるだけで餌を食べなくなってしまったり、それがきっかけで体調不良を招いたりすることもあるからです。
また、もともと屋内にいる個体にとっても、屋外にいる個体と距離が近くなることも大きな環境の変化となります。この時期の鳥たちの引っ越しは、一羽一羽の健康管理がいつも以上に重要になりますが、今シーズンもなんとか無事に終えることができました。
そして、年末といえば大掃除がつきものですが、実は救護施設は年中が大掃除です。自然復帰できない個体に加え、日々運び込まれる傷病鳥獣。何かしらの病原体を保持する可能性がある野生動物を取り扱う施設は、衛生状態を保つ大掃除は日々の業務なのです。
本年も残すところあとわずかとなりました。新型ウイルスの変異株の動向も大変気にはなるところではありますが、どうか皆さまが健やかに、そして穏やかに新年をお迎えできますよう、心から願っております。
(ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)