久保木学さん(安平町早来出身)の現地リポート・極夜 越冬期の開始告げる ブリザードと格闘、オーロラ出現

  • 南極から, 特集
  • 2021年8月23日
ブリザードがつくった雪の巨大モニュメント=久保木隊員撮影
ブリザードがつくった雪の巨大モニュメント=久保木隊員撮影
ブリザード=久保木隊員撮影
ブリザード=久保木隊員撮影
オーロラと天の川と雪上車=久保木隊員撮影
オーロラと天の川と雪上車=久保木隊員撮影

  第62次南極地域観測隊(2020年11月~2022年3月)に参加している東胆振出身隊員による現地リポートの5回目は、久保木学隊員(56)=安平町早来=に太陽の出ない「極夜(きょくや)」について紹介してもらった。    (随時掲載)

   前回は南極の夏期間について書きましたが、今回は夏期間が終わって太陽が昇らなくなる極夜期間のことを書きたいと思います。夏期間が終わると、前次隊の61次越冬隊と62次夏隊の隊員たちが昭和基地から日本に帰るので、基地の人口はいきなり3分の1近くになります。寂しくなりますが、ここからが越冬期間の開始でもあります。

   そして、ブリザードもこの頃からやって来るようになりました。私たちの年はここ10年で最多のブリザード回数を記録。ブリザード期間中は不要不急の外出を制限する外出注意令や、一切の外出を禁止する外出禁止令が出るため建物から出られなくなります。また、ブリザード明けは3日間くらい除雪が必要になります。そのため、ブリザードが立て続けにやってきた5月は建物内でじっと過ごすか、除雪をするかの日々が繰り返されました。そんな憎きブリザードではありますが、時に2階の屋根を超える巨大な芸術作品を残していくこともあり私たちを感動させます。

   南極の空気は、とてもきれいで澄んでいるため、日本では見られない数多くの星を見ることができます。そのため天の川の美しさは格別です。こんなに美しく見られるのは南極ならではではないでしょうか。

   そして、オーロラが見られるのもこの頃からです。

   夜空に緑色に輝くオーロラはさまざまな姿を見せてくれます。帯状であったりカーテンのようであったり、まるでプロジェクションマッピングのように南極の夜空を彩り、私達を楽しませてくれます。おかげできれいなオーロラを見られた翌日には寝不足になる隊員もいたりします。

   皆さんは、「転がる太陽」ってご存知ですか?私も南極に来て始めて知ったのですが、太陽が昇らなくなる極夜直前は、地平線ぎりぎりのところを太陽が移動し、まるで地平線を転がっているように見えるのです。この紙面では動画で見せられないのが残念でなりません。

   極夜は5月末から始まります。7月中旬までの約1カ月半太陽を見ることができなくなります。とは言え、極夜中ずっと暗闇に覆われるわけではありません。太陽は地平線から上に現れないだけで、お昼前後は明け方のような明るさになります。隊員たちは1日のうちわずかに明るい時間に合わせて除雪などの屋外作業をしながら、極夜が明けるのを待ち続けます。

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