昨年の夏のある日、わが家に「地球お守りチーム」が発足しました。これは、世界的に深刻な環境問題を取り上げたテレビ番組を見ながら、当時小学校4年生の息子と環境を良くするために自分たちでも何かできないかと話をしていたとき、テレビ画面に映ったどこかの国のごみであふれかえったビーチを目の当たりにし、みんなでごみ拾いをしようと、突如誕生したわが家の小さな環境グループです。そして、それを隣で聞いていた年長の娘が、せっかく何かするなら名前を付けたいと「地球お守りチーム」と命名しました。
チームの主な活動は、月に1回のごみ拾いとしました。活動初日、まずは子どもたちとごみを拾うためのトングを購入し、それぞれ好きなキャラクターのシールでデコレーション。自宅に近い海岸へ向かいました。意気揚々と浜に到着した子どもたちでしたが、ごみを拾うという観点から初めて見た浜の、ごみの量や種類の多さに驚いていました。自分たちの持っているごみ袋に到底収まりはつかず、何から拾えばいいのか困惑している様子でした。そこで、近くにいたカモメを眺めながら、釣り針を誤飲したり、釣り糸が体に絡まったりして、人の捨てたごみの被害に遭う鳥たちが多くいることを話し、身を守る服や足を守る靴も持たない野生の生き物たちに、けがをさせてしまいそうなものから拾うことにしました。釣り糸・釣り針は発見できませんでしたが、とがったプラスチックの破片や足が引っ掛かりそうなひもなど、子どもながらに危険だと感じたごみを見つけては、次々に拾い集めました。
あっという間に袋いっぱいに詰まったごみに、達成感を感じている子どもたち。しかし、それと同時に視界に広がるまだまだ膨大なごみの量に、虚無感さえ感じてしまいそうな身近な現実。子どもたちのこの小さな手だけで、世界の環境問題に一体どれだけ貢献できるのでしょうか。それでもこの1年間、嫌がることもなく、当たり前のようにごみを拾い続けた姿はたくましさそのものでした。
「地球をお守り」するなんて、立派すぎるくらいの名前に感じたわが家の活動の始まりでしたが、自分たちでこの地球を守るんだという意思なくしては、未来は守れないのかもしれません。
(ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)