支笏湖の歴史 スケールの大きさに驚く 貯水量は全国2位

  • 支笏湖日記, 特集
  • 2021年7月9日
紋別岳から見た支笏湖

  支笏湖は火山の噴火でできた火口に水がたまってできるカルデラ湖です。支笏湖誕生の生い立ちをたどると地殻運動のスケールの大きさにただただ驚くばかりです。支笏湖誕生の元になった支笏火山は6万年前ごろに始まったとされ、4万6000年前ごろの大噴火は噴煙が3万メートルまで達し、遠く知床半島や根室半島まで火山灰が到達したという研究もされています。爆発的な噴火のあと、長い年月を経て風不死岳、恵庭岳、樽前山が形成され今の地形が誕生しました。

   日本一大きな琵琶湖と比べ、面積は9分の1しかありませんが、貯水量は4分の3もあります。面積だけをみると全国第8位ですが、貯水量は第2位なのです。何故かというとそれは湖の深さに起因します。水深がこれも全国第2位で東京タワーもスッポリ入る360・1メートルもあります。琵琶湖とは湖の形成過程が違いますが、その噴火がいかに巨大だったかということがこの数値を見てもうかがい知ることができます。水中を眺められる遊覧船に乗ると、湖底の色が急に濃紺に変わるところを航行します。そこはドロップオフと呼ばれ、急に深くなっているのです。

   支笏湖の深さを少しだけですが体感することができます。そして恵庭岳や樽前山は今も火山活動が行われています。湖畔には丸駒温泉、支笏湖温泉と良質な温泉が湧出し、私たちも火山の恩恵にあずかっています。ちなみにビジターセンターの4K映像を見ていただくと分かりますが、湖底からも温泉が湧出しているそうです。こうした支笏湖形成の過程や支笏湖の自然に関する情報をビジターセンターでは分かりやすく展示しています。

   緑が深くなり支笏湖の水面がキラキラと輝く7月。園地には鳥やセミの鳴き声が響いています。これから支笏湖はベストシーズンを迎えます。ビジターセンターで情報を入手し、園地をゆっくり散策してみてはいかがですか。支笏湖の歴史を知ると見える景色の印象も変わるかもしれません。

  (支笏湖ビジターセンター所長 木林正彦)

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