この4月から支笏湖ビジターセンターで仕事をすることになりました榊原と申します。よろしくお願いします。勤務を始めて2カ月が過ぎましたが、出勤前に主に休暇村支笏湖の園地に立ち寄ることが目下の楽しい日課になっています。
6月の支笏湖の森は緑一色となり、つい1カ月前とは別の森のようです。皆さんもご存知のように、私たちの暮らすこの地域の森林の特徴は、冬に葉を落としていた落葉広葉樹たちが春に緑の葉を広げることです。冬の落葉は、低温と極端な乾燥を避けるために彼らが身に付けた特徴と言えます。私たちにとっては当たり前の変化ですが、本州中部以南の低地の場合、常緑広葉樹主体の森林であるため、このような変化は見られません。
さて、日々の観察の中で今、私が特に着目しているのが「樹木の花」です。キタコブシやエゾヤマザクラなどは、とても美しく目を引く花を見せてくれるのですが、それ以外の樹々も遠目にはあまり目立たない花をひっそりと咲かせます。
ここで紹介する写真は、5月下旬に撮影したハウチワカエデの花で、深紅の花弁にレモンイエローの雄しべが印象的な花を咲かせます。この写真を撮影した時は、一斉に開花した花々に何匹ものエゾオオマルハナバチがうなるような羽音を立てて、花の蜜と花粉を集めるために飛び回っていました。6月現在、これらの花からは種子ができつつあります。
上記以外に開花を確認できた樹木をざっと挙げますとカツラ、ハルニレ、アカイタヤ、イタヤカエデ、ウダイカンバ、サワシバ、オニグルミ、ヤチダモ、オオカメノキなどなど。6月に入り、緑一色の世界の中でナナカマドも白い花を咲かせました。今後、どのような発見や出合いがあるのか楽しみです。コロナウイルスとの戦いは続きますが、皆さんも身近な自然の変化に少しだけ目を向けてみてはいかがでしょうか。小さな発見や出合いに気付くとホッと明るい気持ちになると思います。ぜひ、お勧めします。
(支笏湖ビジターセンター自然解説員 榊原茂樹)