1 海へと伸びる美しい岩礁 えりも町 襟裳岬

  • 日高路の春, 特集
  • 2021年4月27日
日高山脈が海へと続く襟裳岬

  「えりもの春は何もない春です」―。言わずと知れた昭和の名曲、森進一さんの「襟裳岬」の一節だ。えりも町の知名度アップに貢献し、歌碑も襟裳岬を望むように建立されている。そんな襟裳岬は何もないどころか、道内指折りの景勝地として人気を集める。

   襟裳岬は日高山脈がそのまま海へと続く地形で、岩礁地帯は岬の突端から約2キロ、太平洋の水平線に届くように、点々と伸びている。2010年8月に当時道内4番目の国指定名勝「ピリカノカ」に指定された。アイヌ語で「美しい」「形」などを意味する。

   日本最大のゼニガタアザラシの生息地でもあり、約1000頭が岩礁地帯に住みつく。観光施設「風の館」の展望室から、望遠鏡でかわいい姿を見学できる。施設管理係の小川伸治さん(64)は「干潮時は岩の上でひなたぼっこしています」とアピールする。

   風速10メートル以上の風の日が年間260日以上あるという、日本屈指の強風地帯を象徴する同施設。新型コロナウイルス感染対策で、昨年は5月末まで臨時休館したが、今年は「コロナ対策を徹底しながら営業したい。マスク着用や消毒にご協力を」と呼び掛ける。

   えりもは春ウニも有名。「うに祭り」は2年連続で中止されたが、インターネット販売は好調で、町内飲食店も連休明けごろまで提供中。えりも漁協の専務理事、住野谷張貴さん(66)は「ウニは日高コンブなどを食べるので甘さは濃厚でまろやか」と話している。

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   1日にJR日高線鵡川―様似間が廃止される一方、新しいバス運行が始まった。日高地方で公共交通の在り方が変わる中、管内7町にはずっと輝き続けている魅力的な場所は多い。新型コロナウイルス感染拡大下でも楽しめる観光名所などを紹介する。

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