苫小牧商工会議所と苫小牧市の主催する都市再生シンポジウムが15日、苫小牧市内のホテルで開かれ、市民ら約320人が参加した。パネリストに世界的な建築家の隈研吾氏と岩倉博文苫小牧市長、宮本知治苫小牧商工会議所会頭を迎え、市が成長戦略の方向性を示した「都市再生コンセプトプラン」を踏まえ、環境と産業が共生するまちづくりに向けたヒントを探った。岩倉市長は「プランの考え方を、構想から少しずつ具体的な計画に進めたい」と意欲を示した。
最初に市の担当者が、人口減少と高齢化が進む市の現状や、苫小牧港と新千歳空港の「ダブルポート」を生かした▽ものづくり▽臨海ゾーンのロジスティクス(物流全体の最適化)▽臨空ゾーンの国際リゾート―の三つを掲げていることなどを説明した。同プランには、JR苫小牧駅前や苫小牧港・西港区のキラキラ公園に関し、隈氏の事務所が作製したイメージ図なども盛り込まれている。
シンポジウムで宮本会頭は「このようなまちづくりができれば、非常に温かみがあるまちができて、将来の子どもたちにも引き継げるのでは」と期待を込めた。隈氏は苫小牧のポテンシャルの高さを評価し、「新しい変身のモデルとして見に行きたい、と思われるまちになれる可能性を持っている」と指摘した。岩倉市長は実現のカギとして市民のコンセンサス(合意形成)を重視する姿勢を示し、「これからどんどん議論していきたい」と力を込めた。
来場した市内ときわ町の主婦、小林裕子さん(82)は「ビジョンとして示されたもので、あす、あさってに出来るものではないが、市民も(まちづくりに)参加することが大切だと思う」と話していた。