大雪の3月2日。支笏湖温泉地区では一日で30センチの積雪がありました。日が長くなって季節の移ろいも感じられていた時に降ったドカ雪に、私たちのみならず森の生き物もびっくりしたことでしょう。
その日、斜面を駆け上がるエゾシカを見ましたが、雪に足を取られズッコケながらの様子に「動物も苦労しているな」と少し笑ってしまいました。
その数日後、ふれあい行事で紋別岳中腹の森に行きました。雪が深くスノーシューでも足元が20センチ以上沈み、雪面の先頭を行くのはとても苦労しました。歩行に自信があった私は最初、ストックを使わずに歩行していましたがバランスを失い、皆さんの前であの時のエゾシカ以上に大きくズッコケてしまいました。今度は私が笑われました。
例年今ごろの雪面は硬く締まっていてスノーシューが沈まず歩きやすいので、毎年少し遠出の山歩きを計画しているのですが、先日はもくろみが外れ、「スイスイ散歩」とはいきませんでした。
訪れた森はトドマツやエゾマツなどの大木が多い場所です。ヒグマの爪の痕がついたトドマツも見られます。「風とこずえの擦れる音だけの場所」と貴重さをかみしめていた参加者もいらっしゃいました。
森の縁では、日差しを受けて青く輝いた湖とそれを取り囲む冬山の景色が目の前に現れ、皆さんから歓喜の声が上がりました。風がやんだ穏やかな空のもと景色を堪能しながら昼食を取り、おなかも満たして戻ってきました。
帰り道は緩やかな下り坂です。今度は大雪の恩恵に預かり、おのおのが柔らかい新雪面を踏み締めてのんびり快適に下りました。登りのラッセルと違って、あっという間のらくちん下山。「まだまだスノーシューで歩いていたいですね!」の声も出るほどでした。
次回の「スノーシューハイク」は3月21日開催です。スノーシューでしか行けない森への探検が楽しめます。雪があってこその体験も今期最終! よかったら参加してみてください。
(支笏湖ビジターセンター自然解説員 吉田香織)