王子、新年度からクラブチームへ 「イーグルス」新時代 「氷都」「スケートのまち」象徴

  • アイスホッケー, スポーツ, レッドイーグルス
  • 2021年1月12日
新時代を迎えようとしている王子イーグルス=昨年12月6日のアジアリーグ・ジャパンカップ、白鳥王子アイスアリーナ
新時代を迎えようとしている王子イーグルス=昨年12月6日のアジアリーグ・ジャパンカップ、白鳥王子アイスアリーナ
日本リーグオールスター戦で往年の王子―岩倉OBが対戦。赤いマスクはGK大坪=03年1月18日、白鳥(現・白鳥王子アイス)アリーナ
日本リーグオールスター戦で往年の王子―岩倉OBが対戦。赤いマスクはGK大坪=03年1月18日、白鳥(現・白鳥王子アイス)アリーナ

  苫小牧の地域性を指す代名詞「スケートのまち」「氷都」―。当地の各時代を通じて象徴的スポーツ財団の役割を担い続けてきた王子イーグルスが新年度からクラブチーム「レッドイーグルス北海道」に生まれ変わる。1926年1月に王子製紙苫小牧工場職員のアイスホッケー同好会として結成。現在のアジアリーグには創設の2003~04シーズンから加盟して2度の優勝を遂げたチームが新たな歴史を切り開こうと踏みだしていく。

   昭和から平成に至る1966年~2004年の間、存続した男子トップリーグの日本リーグにも開始当初から加盟し、優勝は13度。戦前から続き、昨年12月で88回目を迎えた全日本選手権では国内チーム中最多の優勝37度を達成している。

   1972年の札幌五輪に向けて選手強化を目的にスタートした日本リーグ初年度は他に西武鉄道、古河電工、岩倉組、福徳相互銀行の顔触れ。途中加入のコクドが最終リーグまでに優勝13度を数え、西武鉄道が10度。同じく苫小牧を拠点にする岩倉組もリーグ開始から2連覇していて、その時々で繰り広げられた王子とライバルたちの激しく熱い闘争が人気を集めた。

   戦前から名選手が所属する強豪として王子が名を上げ続けたのは五輪だろう。日本の男子代表が出場した34年のドイツ・ガルミッシュパルテンキルヘン大会を皮切りに、98年長野大会までの歴代すべてに加え、その予選や最近までの世界選手権代表に選手を毎回送り込んできた。

   こうした中、20世紀終盤からは国内競技界トップリーグを形成してきた企業チーム撤退が続いた。99年に日光の古河電工、続いて70年代から苫小牧の岩倉組を引き継いだ札幌の雪印が2001年に活動を終了。在京チームとしては今世紀にコクドと統合した西武(SEIBUプリンスラビッツ)も09年に手を引き、19年には釧路の日本製紙が廃部となった。

   現在のアジアリーグ加盟チームでは栃木日光アイスバックス、ひがし北海道クレインズの両クラブチームが発足時の母体となった古河、日本製紙の各記録を継承中。企業チームとして運営を続けてきたのは王子が唯一だった。

  【王子イーグルス略年表】

  1926年 王子製紙苫小牧工場職員が同好会を組織し1

        月にチーム名を「王子イーグル」にする

    31年 会社に認められ、同好会から「王子製紙アイ

        スホッケー部」に昇格

    32年 初参加の第3回全日本選手権優勝

    34年 日本初参加のドイツ・ガルミッシュパルテン

        キルヘン冬季五輪に所属選手派遣

    41年 明治神宮大会優勝

    44年 太平洋戦争により活動中止

    46年 苫小牧に岩倉組アイスホッケー部が創立され

        て町(当時)の人気を二分

    48年 国民体育大会初優勝

    51年 第20回全日本選手権優勝し3連覇

    57年 第26回全日本選手権優勝し5連覇

    60年 スコーバレー五輪に選手派遣

    63年 全日本実業団選手権・NHK杯・国民体育大

        会・全日本選手権すべてに優勝し4冠王

    64年 インスブルック冬季五輪に選手派遣

    65年 STV杯実業団選抜・NHK杯・国民体育大

        会・全日本実業団選手権・全日本選手権優勝

        し5冠王

    66年 第1回日本リーグ初参加。「王子スポーツセ

        ンター(後に王子製紙スケートセンター)」を

        ホームアリーナとする

    68年 グルノーブル五輪に選手派遣。岩倉組の3連

        覇を阻止し第3回日本リーグ初優勝

    72年 札幌冬季五輪に選手派遣

    73年 第41回全日本選手権16度目の優勝

    75年 旧ソ連ナショナルチームから王子初の外国人

        スタルシノフ選手加入

    76年 インスブルック五輪に選手派遣

    80年 レークプラシッド五輪に選手派遣

    84年 第19回日本リーグ優勝し4連覇

    90年 第25回日本リーグ優勝し2連覇(12月)

    94年 第28回日本リーグ13回目優勝

    95年 第63回全日本選手権優勝し5連覇

    96年 現ホームアリーナの白鳥アリーナ完成

    98年 長野冬季五輪に選手派遣

  2000年 第67回全日本選手権通算32回目優勝

    02年 第69回全日本選手権通算33回目優勝

    03年 アジアリーグ開幕

    08年 アジアリーグ初優勝。チーム名称を「王子製紙

        アイスホッケー部」から「王子イーグルス」に

    12年 アジアリーグ優勝、年末の第80回全日本選手

        権35回目優勝

    16年 第84回全日本選手権通算36回目優勝

    18年 第86回全日本選手権通算37回目優勝

    20年 クラブチーム化を発表(10月)

  (王子イーグルス公式ウェブサイト、王子製紙アイスホッケー部史「60年のあゆみ」などを基に作成)

  【過去の五輪派遣選手・役員】

  ▽ドイツ・ガルミッシュパルテンキルヘン(1934年) FW二瓶寅男、北沢正辰、原信男、GK平元光喜

  ▽米国・スコーバレー(1960年) FW本間信一、高島守、垣原隆司、DF高木邦人

  ▽オーストリア・インスブルック(1964年) FW本間信一、高島守、工藤公久

  ▽フランス・グルノーブル(1968年) FW高島守、工藤公久、荒城信弘、引木孝夫、DF 鳥谷部健司、金入孝明、GK大坪利満、審判―高木邦人、連盟役員―本間信一

  ▽日本・札幌(1972年) FW引木孝夫、黒川秀明、本間照康、DF粒来敬詞、GK大坪利満、コーチ―本間信一、審判―高木邦人

  ▽オーストリア・インスブルック(1976年) FW京谷佳明、東毅、浦辺秀夫、本間貞樹、DF江刺家清、若狭浩嗣、GK大坪利満、監督―桝川順司

  ▽米国・レークプラシッド(1980年) FW浦辺秀夫、京谷佳明、東毅、本間貞樹、DF若狭浩嗣

  ▽日本・長野(1998年) FW川平誠、桜井邦彦、杉沢明人、松浦浩史、DF山中武司、コーチ―鹿野善孝

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