㊤ 制限措置迅速対応に驚き 警戒「ステージ4」体制 閑散とした街に恐怖感

  • 小河けいさんのメルボルン便り, 特集
  • 2020年12月9日
オーストラリアからブログを更新している小河さん

  苫小牧市のNPO法人「樽前arty+(アーティ・プラス)」のメンバーで、オーストラリア在住の小河(おごう)けいさん(44)が、同法人のブログで、コロナ禍の現地での生活を伝えている。まちの人々の暮らしや幼児・学校教育の様子が分かり、電話取材で聞いた小河さんの話を交えながら内容を紹介する。

  (高野玲央奈)

   小河さんがブログを始めたのは「異国でのコロナ禍の経験を記録しておくと、樽前アーティーに帰ってからも役に立つ」と思ったことがきっかけ。記録以外に近況を伝える意味も込め、8月に始めた。子どもたちのオンライン授業中の様子や外出などに厳しい制限があったロックダウン(都市封鎖)中の生活を公開している。

   メルボルンが州都のビクトリア州では、10月下旬以降、感染者は出ていない。メルボルン中心部は何度かロックダウンしているが、今は解除され、店の営業や学校も通常登校となった。ただ、保護者の校内への立ち入りは制限されている。「良くはなったけれど、元通りではない」と印象を話す。

   同州では8月にコロナ警戒レベル「ステージ4」の体制となり、生活必需品の購入や、やむを得ない事情を除き、原則自宅待機となった。買い物は「1日に1世帯から1人限定で自宅から5キロ圏内」とされた。制限は9月下旬以降から段階的に緩和されたが、長く続いた。

   小河さんが驚いたのは、物事の決定から施行までの迅速さだ。制限措置の適用は発表されてから、その数時間後に始まったという。数日前から報道を通していろいろな予測は飛び交っていたものの、「準備期間がなくてびっくりした。でも、スピード感に頼もしさを感じた」と語る。

   家の近くにスーパーがあり、買い出しにはあまり困らなかったが、警戒レベルが途中で引き上げられ、その頃は買い出しに出ても「人も車もまったく通っていなく、それが恐ろしくなって引き返した」というほど閑散としていたという。

   今年は出国規制などで日本に帰省ができないが、「万が一にも、ウイルスを持ち込んでしまう可能性が怖い。今は、オンラインでも親に孫を会わせられるので、帰省は我慢したい」と割り切る。「コロナ禍が落ち着いたら苫小牧にも行きたい。それまで、皆さんにも健康でいてほしい」と願っている。

   おごう・けい 福岡出身、2児の母。2011~16年に苫小牧市に住み、16年9月から夫の聡輔さん(43)の転勤で豪州・メルボルンで暮らしている。樽前アーティープラスでは事務を担当。苫小牧市美術博物館の広報紙「びとこま」では創刊に携わり、豪州の日常生活での発見や驚きを紹介するコラム「メルボルンるんだより」を執筆している。

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