危険運転、速度・飲酒で数値基準 「ドリフト走行」対象に―法務省検討会

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  • 2024年11月28日

  危険運転致死傷罪の在り方を議論する法務省の有識者検討会(座長・今井猛嘉法政大教授)は27日、曖昧さが指摘される速度超過や飲酒の要件について、数値基準の新設を柱とする報告書をまとめた。タイヤを横滑りさせる「ドリフト走行」を処罰対象に加えることも盛り込んだ。

  今後は法改正に向け、法制審議会(法相の諮問機関)で検討が進む見通しだ。

  報告書は、具体的な数値を明記しなかったが、議論の中で示された案として、速度超過は「最高速度の1・5~2倍」、飲酒は「呼気1リットル当たり0・5ミリグラム以上」などと言及。数値基準の設定次第では「(危険運転と過失運転の)中間的な犯罪類型を検討する必要がある」との意見も記した。

  自動車運転処罰法は、危険運転致死傷罪の処罰対象として(1)アルコール・薬物の影響で正常な運転が困難(2)進行制御が困難な高速度―などの行為を規定。法定刑の上限は懲役20年で、過失運転致死傷罪の懲役7年より重い。

  ただ、どのような事例が該当するかは必ずしも明確ではなく、適用のハードルが高いとの指摘は根強い。近年、大幅な速度超過による死傷事故で適用されない判断が相次ぎ、遺族側から見直しを求める声が出ていた。

  報告書はまた、新たな処罰対象として「ドリフト走行」などを提起。一方、スマートフォン使用などの「ながら運転」は、立証上の課題が多く、「慎重な検討が必要」との表現にとどめた。

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