(21)民生委員・児童委員 見守り活動も試行錯誤

  • 変わる日常 コロナ新時代, 特集
  • 2020年11月2日
電話越しで高齢者の話に耳を傾ける三浦双葉地区会長

  地域福祉の担い手として住民個々の相談に応じ、生活に関わる諸課題の解決に当たる民生委員・児童委員。新型コロナウイルス禍の出口が見えない中、苫小牧市内の委員たちも難しい対応を迫られている。感染予防で引きこもる高齢者が増える一方、訪問面談の自粛など活動は制限されており、電話でコミュニケーションを取るなど工夫しながら、高齢者の見守りを続ける。

   全国民生委員児童委員連合会は3月、コロナ禍で相談活動はできる限り、電話やメールで行う方針を打ち出した。感染防止を最優先し、対面でなければならない場合を除いて訪問も控える。北海道民生委員児童委員連盟も対象者の自宅を訪れる場合、手指消毒やマスク着用を徹底。可能な限り、玄関先で原則15分以内にとどめるよう呼び掛ける。

   市内の委員たちも3月から訪問面談を自粛しているが、工夫を凝らして対象者とコミュニケーションを取る。市民生委員児童委員協議会の松村順子会長は「電話に出ない高齢者に絵はがきや手紙を自宅に送る委員もいて、対象者に喜ばれている」と言う。電話による地道な見守り活動を続ける三浦孝雄双葉地区会長は「最近はしつこい勧誘におびえる事例も耳にする。相手の話をしっかり聞いて、興味を持ってもらえそうな話題を投げ掛けるよう努めている」と不安払拭(ふっしょく)にも腐心している。

   市によると、市内の1人暮らしの高齢者世帯は約1万4300世帯。民児委員は354人で、委員1人当たり平均45世帯を担当する計算だ。市は毎年9、10両月に高齢者の生活実態を把握するため、高齢者世帯調査を実施している。例年であれば委員が自宅を訪れて直接聴き取り、顔合わせの機会にもなっていたが、今年は感染予防のため原則電話で行う。

   高齢者狙いの詐欺も懸念されており、電話連絡する際は委員の電話番号を登録してもらったり、登録機能がない場合には事前に決めた回数のコール音を鳴らして合図したりと十分に配慮。詐欺被害事例も紹介して注意喚起しつつ、安心・安全を第一に見守り活動を続ける。

   一方、サークルや町内会など地域活動も自粛が続く中、自宅に引きこもる高齢者が増えているという。松村会長はコロナ禍における高齢者の変化について「外出を控える中で足腰の衰えを感じたり、孤立化したりする人が目立っている」と指摘。「高齢の感染者は重篤化しやすいと言われ、怖がる人も多い」と語る。試行錯誤の活動は続くが「声の雰囲気でも体調や精神状況などは分かる。今後もきめ細かく状況を確認しながら活動していきたい」と話している。

  (松原俊介)

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