夏が終わり、一雨ごとに秋の空気を色濃く感じる昨今。釣り倶楽部の渓流担当記者は、餌釣りで千歳川の上流を訪ねた。紅葉に色づきつつある森の中で、朱色が美しいオショロコマに出合った。
出掛けたのは、苫小牧市と千歳市の境にある支笏湖が源流の千歳川の支流。10月も中旬に差し掛かると、河岸脇の草木は葉を落とし、入渓しやすい半面、川底にたまった落ち葉や枝による”根掛かり”に注意が必要になる。
今回、記者が挑戦したのはイワナをターゲットにした餌釣り。タックルは、4・5メートルの延べざおに0・4号のナイロンライン。これにヤマメ用の針(8号サイズ)を結び、餌に市販のブドウ虫を選択した。流れの速さに合わせて重りとなるガン玉の大きさを調整する。細いラインを使用するため、ゴムでコーティングされた物を使った。
釣行前の数日にわたって雨が続いたため、現地の川の水位は若干高く、本流河川での釣りは難しい状況だった。支流も増水や水流の速い場所がある一方、岩などに当たって流れが急に減速するポイントも点在した。そこで記者は条件の良い場所だけを重点的に狙って釣り歩いた。
しばらくして、小さな落ち込みと流れの緩やかな深場が連なっている好ポイントを発見した。落ち込みの上流部から流れに乗せて餌を通すと、深場から駆け上がりに至る付近でさお先に小気味よい”当たり”が伝わった。程よい引きを楽しんだ末、手にしたのは体長24センチのイワナの仲間「オショロコマ」。産卵期を迎え、腹部をオレンジ色の婚姻色に染めた立派な雄だった。
その後も、同じポイントで数匹のオショロコマに出合い、満足の釣行となった。