ようやく今季初物 ダイナム裏で

  • 釣り
  • 2020年10月8日
苫小牧市錦岡の通称ダイナム裏。サケ狙いのさおが延々と並ぶ
苫小牧市錦岡の通称ダイナム裏。サケ狙いのさおが延々と並ぶ
釣った翌日の食卓に上ったさけフライ。翌々日は甘塩のかま焼き、週末はあらを使った石狩鍋。ごちそうさまでした―
釣った翌日の食卓に上ったさけフライ。翌々日は甘塩のかま焼き、週末はあらを使った石狩鍋。ごちそうさまでした―

  年々人気が過熱する感のあるサケ釣り。釣行記を書かねばとシーズン当初から予定していたのにまったく釣果に恵まれず、諦めかけていたところで9月29日に待望の1匹。釣り倶楽部の遅ればせサケ実釣リポートをまとめた。

   8月下旬から苫小牧や伊達などでウキルアーやフカセ、ぶっ込み釣りを試みていた。釣りは休日が中心のため、混雑して密やトラブルになりがちな場所や時間を避けたこともあり、釣果はゼロ。日高以西は沖の漁模様も厳しく、弱気になっていた。

   有給休暇を取ったこの日午後2時すぎ、胆振を代表する名ポイント、市内錦岡の通称ダイナム裏に入釣。早朝組が撤収した後のスペースに入り4本のさお(4・5メートル)をセットした。餌は塩締めサンマ。海は軽く波が立つ上々のコンディション。準備の間に近くの釣り師がロッドを大きく曲げた。がぜん期待は高まる。

   全ての仕掛けを打って約30分。波打ち際から40メートルほど投げたさおが激しく揺れてラインがふけ、テンションを失って直立した。少し離れた所から駆け寄り、祈る思いでリールを巻いて糸ふけを取ると、糸の先に魚の存在を感じる。「乗ってる」。確信してさおを大きくあおって合わせ、改めてリールを巻いた。

   バラシを防ぐためにはさおの弾性と復元力を生かすのが重要だ。ラインを張り、さおは立てて大きく曲げ、暴れる魚の力を吸収する。水中の魚は馬力がある。ラインとリールだけの力勝負では糸が切れたり、さおが折れたりする。やりとりしながら、慎重にと念じた。

   魚の引く力が強い。「雄かもしれない」。サケと力比べをしながらリールのドラグを少し締めた。波打ち際で魚の抵抗は激しさを増す。寄せ波に乗せて足元まで引きずり上げようとするが、サケも引き波を利用して猛烈な勢いで横や沖方向に”走る”。耐えるばかりでいなせない。魚が砂浜に上がって波が切れたタイミングで隣人がサポートに入り、何とか確保できた。ウロコがはがれるほどのサケに、ベテラン釣り師から「こいつはいい雄だ」と太鼓判。この日午後、一帯では2桁の釣果が上がった。

   仕掛けは、シンプルなシルバーのフロートに発泡シモリ、赤タコベイト。フロートは床用スポンジ素材のマットを自分で切り、ラインを通す穴を開けた。軟らかいから、くわえた際にサケに違和感を与えにくいという。

   ただし軟らかいためにフロートのホログラムシールがはがれやすい。ビニールハウス補修用のテープをシートの上に貼って補強した。インターネットで公開されていたベテラン釣り師のアイデアがネタ元。釣果との関係は有意に分からないが、釣れれば仕掛け作りの面白さ、楽しみが増幅する。

   秋サケは万能の食材。余すところはない。すぐに野締めしたから鮮度は良好だ。わが家では焼いたり、炒めたり、揚げたり、鍋にしたりして存分に堪能する。

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