道南バス(室蘭市、長谷川義郎社長)は、創立100周年記念事業の一環で、昭和の後半を駆け抜けたバスを再現した復刻デザイン車両2両を新調した。「赤白カラー」と、白を基調にピンクや青を施した「3色カラー」の各1台。主に室蘭市や登別市で走るが、「赤白カラー」の車両は登別若山営業所を拠点に、白老・苫小牧方面でも運行する予定。同社は「皆さんの成長とともに変化してきた色の歴史を感じてもらえたら」と話す。
赤白カラーは、1970(昭和45)年前後から昭和の後半にかけて、胆振、日高を走って住民の足を支えてきた。この車両と入れ替えるように3色カラーを導入し、86年10月限りで廃線となった旧国鉄胆振線(伊達紋別―倶知安駅)、富内線(鵡川―日高町駅)の代替として90年代半ばまで運行した。
同社の車両は現在、緑色の車両が一般に定着しているが、創立100周年に合わせて「カラーの歴史を知ってもらおう」と企画した。経年劣化した車両の切り替えで購入した日産ディーゼル車を、当時のデザインに沿って仕立てた。9日に室蘭市の本社で2台並べて報道陣に公開し、10日から順次運行している。
同社は今後も復刻カラーを活用したラッピング車両を計画しており、長谷川社長は「地域の方々が親しみを持つきっかけになれば。学生時代や修学旅行に乗ったことのあるお年寄りや中年層も、懐かしさを感じてバスに乗ってもらいたい」と期待した。
同社は25(大正14)年に「室蘭自動車合資会社」として設立。戦後の52(昭和27)年に現在の名称となり、今年7月3日に創立100周年を迎える。