コメが一時、店頭からなくなったり高騰したりして昨年来、この問題で政治が激しく揺れたが、政府が備蓄米を随意契約で放出するようになってようやく消費者の怒りや不安感は少し和らいだろうか。とは言え、ことは主食。先の読めない国際情勢の時代にまるで改善しない食料自給率の低さを踏まえれば、食料安全保障の視点からもいっそう今後の米政策をどう展開するのか心配になる。
そんなコメ問題とトランプ関税を軸に動いていた感さえある今年の通常国会も気付けば最終盤。参院選は秒読みだ。昨夜の党首討論はその参院選を意識したテーマで議論がなされた。質問する側も応じる側も消費税やガソリン税の減税、生活支援の給付金、年金などの政策や考えを批判や主張にかぶせて選挙向けの公約アピールに余念がなかった。
国会は言論闘争の主戦場だから攻防に例えられることがある。過去には追及される首相が「逃げ切る」ために論点をすり替え、はぐらかし、時には政敵にレッテルを張って印象を操作する言葉を使って「攻撃」した人もいた。攻める守るは当事者や政党の話。論点の本質が欠落した議論が交わされるなら政治は前に進まない。体裁だけつくろうことだってある。本質を見抜く目を持ちたい。(司)