日本の宇宙開発を支えてきたH2Aロケットが6月、最後の50号機で地球上の二酸化炭素や水の循環(じゅんかん)を観測する衛星「GOSAT(ゴーサット)―GW」を打ち上げ、引退する予定です。
H2Aは、マイナス250度まで冷やして液体にした水素を燃料に使う2段式の液体燃料ロケットです。2001年に初めて打ち上げられて以降、失敗は03年の6号機だけ。約98%という世界的に見てもきわめて高い成功率を誇(ほこ)ってきました。
日々の天気予報に役立つ気象衛星「ひまわり」、小惑星(わくせい)の砂を持ち帰った「はやぶさ2」、月面のピンポイント着陸に成功した「SLIM(スリム)」など、さまざまな衛星や探査機を宇宙に届けてきたほか、外国から注文を受けて衛星を打ち上げる商業サービスにも道を開きました。
高い信頼(しんらい)性を誇ってきたH2Aですが、最近はアメリカ・スペースX社のファルコン9や、ヨーロッパのアリアン6など、より大きな荷物を安く打ち上げるライバルが現れてきました。日本も昨年、より安く、能力の高い新型ロケットH3の打ち上げに成功。H2Aが築いてきた信頼性と技術を引きついでいくことになります。
打ち上げられるH2Aロケット1号機=2001年8月、鹿児島県・種子島(たねがしま)宇宙センター小惑星探査機「はやぶさ2」=2014年8月、相模原(さがみはら)市中央区の宇宙科学研究所