将棋の伊藤匠叡王(22)に斎藤慎太郎八段(32)が挑戦する第10期叡王戦5番勝負の第5局が14日、千葉県柏市で指され、後手の伊藤叡王が120手で勝ち、3勝2敗として初のタイトル防衛を決めた。
中盤に形勢を損ねた伊藤叡王が粘ってしのぎ、終盤の逆転につなげた。昨年6月、同い年の藤井聡太八冠=当時=を破り、初めて獲得したタイトルを死守した。タイトル2期獲得に伴い、八段昇段も決めた。
伊藤叡王は終局後、「苦しい時間帯が長かったので、(防衛の)実感は全くない」と語った。斎藤八段は2018年の王座以来のタイトルを狙ったが一歩及ばず、「終盤で勝ち切れなかった」と悔しさをにじませた。
伊藤叡王はその後、同市内で記者会見。叡王獲得後はタイトル挑戦に至らず、「なかなか良い将棋を指せていない」と振り返った。しかし、今期は王座戦で準決勝に進むなどしており、「(藤井七冠と)タイトル戦で戦いたい気持ちはある。挑戦できるようにやっていきたい」と意欲を見せた。