野鳥の子育て期到来 巣や卵を見つけても、そっと見守って

  • 救護室のカルテ, 特集, 長期連載
  • 2025年6月20日

 つい先日芽吹いたばかりのように思っていたウトナイ湖畔の木々も、緑の深みを増し、夏らしい風景となってきました。野鳥の世界では、繁殖期の真っただ中。ウトナイ湖野生鳥獣保護センターの周辺でも、巣で待つひなに持ち帰るのでしょうか。シジュウカラが虫をくわえる姿を幾度か目にしました。 このように、野鳥の子育て期が到来すると、この時期ならではの問い合わせが、当センターに相次ぎます。 つい先日も、このような相談がありました。自宅の換気扇に野鳥が出入りしていたために確認をしたら、中に巣が作ってあり、すでに卵が何個か産まれていたがどうしたらよいか、とのことでした。 この時期、何かのきっかけで野鳥の巣を見つけたり、その中に卵を発見したりというケースは、珍しくありません。もし、卵がある場合は、親鳥が抱卵中の可能性が高いため、その妨げにならないように、すみやかにその場を離れていただけたらと、お伝えしています。 今回相談いただいた方は、野鳥の種類は特定できなかったとのことでしたが、人の住環境で子育てをする野鳥といえば、たいていスズメやシジュウカラ、ハクセキレイなどの小鳥類かと思われます。一般的に小鳥類の子育ては、産卵してからふ化までの抱卵期間が約2週間、そしてふ化して巣立つまでも約2週間のため、合わせて1カ月ほどそっとしていただけたら、無事に巣から離れていく可能性があります。 また、まだふ化していない卵であれば、巣ごと撤去してもよいかと相談いただくこともありますが、実は許可なく卵を撤去することは「鳥獣保護管理法(正式名称:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)」違反になります。もちろん、すでにひながふ化している場合も該当します。卵やひなであっても、法律の対象となる立派な生命体なのです。 野鳥の子育て期はあと1~2カ月は続くかと思われますが、自然界で繰り広げられる命の営みを、静かに見守っていただければ幸いです。 (ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)

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