白老町高砂町の白老生活館の建て替え工事が今夏、始まる。町は同館と町大町の白老中央生活館を統合し、伝統文化の発信と地域交流の機能を併せ持つ多機能型生活館として、新施設を2024年春にオープンさせる。着工日は、早ければ6月中に決まる見通し。
同館は1962年に開館し、町内会やアイヌ関係団体の活動に利用されてきた。79年に改築して43年が経過し、建物の耐用年数を大幅に超えたため、昨年9月~今年2月末に解体した。
新施設の建設予定地は、同館東側の町有地。木造平屋建てで、延べ床面積は同館の約1.6倍の482.98平方メートル。建物本体の工事費は約2億7700万円。
近隣にアイヌ民族の子どもが通った小学校や「コタンのシュバイツアー」と呼ばれた故高橋房次医師の病院の跡地があり、儀礼室には東側に神窓、中央に伝統的な炉を設置。季節や天候に左右されず、アイヌ民族の伝統儀式を執り行えるようにする。調理室は、アイヌ伝統料理教室などを開催できる広さと設備を整える。
地域住民や各種団体が、会議、研修、サークル活動などを快適に行えるよう可動式の間仕切りを備えた研修室とホール兼集会室も設ける。
建築資材などの物価高騰が影響し、町は当初同館の約2倍としていた建物の延べ床面積を約1.6倍とし、2023年度に予定していた駐車場などの外構工事を24年度以降に延ばした。
白老中央生活館との統合や多機能型施設にすることについては、人口動向、施設の利用状況、アイヌ文化振興などさまざまな観点から決めた。町アイヌ政策推進室の担当者は「バリアフリーや多目的トイレを設置するなどして、明るく温かい施設にしたい」と話している。