白老町議会の全員協議会が15日開かれ、5月ごろに準備工事に着手予定の町立病院改築の開院目標の先延ばしや、町立介護老人保健施設「きたこぶし」で起きた虐待問題の経過が報告された。
病院改築では物価高騰や建築資材の納期の遅れから、開院目標を当初の2024年5月から同10月末に延ばすことを明らかにした。大塩英男町長は「速やかに工事に着手できるよう全力で取り組む」と述べた。
設計は、昨年11月に町内3カ所で開かれた町立病院改築説明会での町民要望などを受け、車寄せスペースに車両1台分を新たに確保して2台分とし、多機能トイレに乳幼児用いすやベビーベッドを盛り込んだ。議員からは、高齢者のおむつ交換ができるスペースを望む意見があった。
「きたこぶし」で職員が入所者に虐待を繰り返した問題では、村上弘光事務長が、その後の調査で虐待を受けていた入所者が新たに1人判明し、計5人になったと報告。警察の捜査は現在も続いているが、虐待を行った職員については「特定に至っていない」とした。虐待の発生要因に「虐待に対する施設、職員全体の意識の低さ」「管理監督者が現場を掌握しておらず、現場に目が行き届かない状況の常態化」を挙げ、昨年12月以降、事務次長級の職員を老健施設専任の管理監督者にしているとした。
入所者数は、虐待発覚前の昨年10月時点は12人で、現在は5人。虐待認定を受けた5人を含む9人が15日までに退所し、新たに2人が入所した。同時点で勤務していた看護師3人、介護士2人が15日までに退職しているという。
大塩町長は「二度とこのような不祥事を起こさないように信頼回復に努める。報告機会は今後も設ける」と陳謝。猪原達也施設長も「施設に対する信頼を著しく失墜させた」と頭を下げた。
報告を受けた議員からは「事件の原因究明と(事件に関わった職員を)懲罰する意思を町として町民に示す必要がある」「施設だけでなく町組織全体の問題とし、連帯責任を持って取り組んでほしい」「町として『うみを出す』覚悟が問われている。必ず改善を」との声が相次いだ。
町は、今後も高齢者虐待防止委員会や研修会、接遇や介助に関する勉強会などを定期的に開催する考え。引き続き、虐待防止に関する理解を関係者間で共有していく。