白老町の仙台藩白老元陣屋資料館で、企画展「白老町伝統文化継承者展」が開かれている。2月に町から伝統文化継承者に認定された山崎シマ子さん(82)=高砂町=と菅野節子さん(78)=萩野=のアイヌ手工芸品をメインに、約50点の資料を紹介している。31日まで。
同展の開催は昨年に続き2回目。山崎さんの作品は、オヒョウニレの内皮で編み込んだ陣羽織やアットゥシ、白老地方の木綿衣(ルウンペ)、シナノキで編んだ袋(イテセサラニプ)など20点。菅野さんの作品は、四季をモチーフにした壁飾りや鉢巻き(マタンプシ)、首飾り(レクトゥンペ)など25点。この他、しらおいイオル事務所チキサニ(町末広町)が所有するはんてんや、アイヌ民族の伝統舞踊を収録した映像など3点を展示している。
開幕初日の11日は展示解説会が開かれ、山崎さんと菅野さんが制作の苦労や伝統文化継承への考えを語った。山崎さんは「自分の体に流れるアイヌの血を意識し、先祖から受け継いだ文化の奥深さを大切にしている」とし、菅野さんは「文様をみだりに変えることはできない。先祖が残した技法に沿って作っている」と話した。
同館友の会会長の川西政幸さん(79)=町文化財等運営審議会会長=は「伝承者は町の宝。一人でも多くの人に存在と作品を知ってもらいたい」と企画展の意義を強調。チキサニで山崎さんと菅野さんの作品展示やワークショップなどを行ってきた学芸員の森洋輔さん(40)は「(展示を通じ)2人だけでなく、アイヌ文化で研さんを積んでいる町内の人々にも光が当たれば」と期待した。
武永真館長は「熱意と努力で受け継がれた至極の伝統手工芸品から、2人の技と心に触れてほしい」と来場を呼び掛けている。