登別温泉の老舗第一滝本館(登別市登別温泉町)の名物の一つ、巨大なからくりオブジェ「鬼の大金棒」が4月10日午前11時の演奏を最後に停止する。からくりを支える部材が供給停止となったためで、温泉利用客からは30年余り続いた鬼たちの演奏を惜しむ声が上がっている。
円柱状で金色の大金棒は高さ9メートル、重さは10トンに上る。からくりは定時に上下二つの扉が開き、上の扉から子鬼の指揮者と5匹の鬼の鼓笛隊、下の扉からは宝船に乗った桃太郎一行が現れ、勇壮なパフォーマンスを約5分間繰り広げる。午前7時~午後3時は1時間ごとに9回、午後8~11時は30分ごとに7回、合わせて16回からくりが動く。
本館の吹き抜け部分に「動きがあって、音楽が流れ、見ていて楽しいものを」と考え、1990年に設置した。設計と施工は乃村工藝社(本社東京)が手掛けた。保守点検を年1回行ってきたが部品調達が難しくなり、館全体がメンテナンスに入る前日の来月10日をもって停止することを決めた。
メンテナンス後も大金棒の設置自体は続け、内部のからくりは動いていた当時の映像とともに館内の一角に展示するという。同館の広報担当者は「スタッフとしては寂しいが、からくりの最後の姿を一人でも多くの方に見てもらいたい」と来館を呼び掛けている。