白老町高砂町3の藤田内科クリニックが今月末で閉院する。同院は1992年2月に開業以来、地域に密着した医療機関として、多くの町民に親しまれてきた。閉院は藤田英雄院長(74)の高齢と体調不良が理由で、「31年間、やり切ったという思い。多くの町民の皆さんに支えていただいた」と感謝する。
藤田院長は旭川市出身で、札幌医科大学医学部を卒業後、室蘭市立病院、登別厚生年金病院での勤務を経て独立。同クリニックでは内科、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、小児科を開設し、町民を含む多くの患者の健康を支えてきた。
93年3月に法人化し、96年1月に訪問看護事業および老人訪問看護事業者の指定を受け、「訪問看護ステーションまゆ」を開設した。2000年4月には通所リハビリテーション(定員20人)の事業者と居宅介護支援事業者の指定も受けた。
3年ほど前から体調が優れず、体力の衰えを感じるようになり、後継者もいないことから閉院を決断した。通ってくれた患者らには一人ひとり手紙を出し、これまでの厚情に感謝したという。
31年を振り返って藤田院長は「病棟、デイケア、訪問看護、ケアマネ事業所のほか終末医療にも関わることができた。この町で、この仕事に就くことができて本当に良かったと実感している」と回顧。閉院後の外来受診については、患者が希望する医療機関を紹介するとしている。
町民には「早期の治療と発見がとても重要。気になる症状があれば早めに検査と治療を受けてほしい」と呼び掛ける。
有料老人ホームなどの関連施設は、町外の移譲先によって引き続き運営される予定。