厚真町議会定例会が7日に開会した。宮坂尚市朗町長が2023年度施政方針を述べ、18年9月に発生した胆振東部地震発災から5度目の春を迎えるに当たり、「一丁目一番地である震災からの復旧・復興とその先にある創生に向けて、自らをアップデートしながら、関係機関と力を合わせ、町職員と一丸となってまい進していく」と力強く語った。
宮坂町長は、23年度が国直轄の災害復旧事業の最終年度となることを挙げ、「復旧から復興、その先の創生へと本格的に軸足を移行する局面を迎えている」と説明。一方で、森林再生や一部の宅地耐震化事業、地震と新型コロナウイルス感染症と続いた災禍で傷ついた町民の心のケアやコミュニティーの再生など、「残された課題は多い。引き続き地域や個々の事情に寄り添いつつ、丁寧に復旧・復興を進めていく」と強調した。
また、被災地としての教訓やこれまでの復旧・復興の歩みを後世へ継承していくための取り組みとして「胆振東部地震災害記録誌」(仮称)、応急期から復旧期における町の対応を検証する「胆振東部地震災害対応検証報告書」(同)を刊行。関係機関や専門家によるシンポジウムの開催を予定するなど「震災が歴史に正しく記録されるよう努めていく」と話した。
森林再生については林業専用道、森林作業道の開設、「特殊地拵(こしら)え」と呼ばれる被害木整理、植林を22年度以上の事業量を計画するなど引き続き森林再生と林業復興に注力。道との共催で「北海道植樹祭」を5月28日に開催することも明らかにし、「多くの道民、町民が集うこの植樹祭を森林再生の推進力に変え、復旧・復興を加速させる」と力を込めた。
多くの注目が集まる役場庁舎の建て替え、文化交流施設を中心とした周辺等整備については、今月中に基本構想・基本計画の策定が完了する予定。ゼロカーボン(二酸化炭素排出実質ゼロ)の取り組みに対する国の支援など「できる限り特定財源を確保し、財政負担の軽減に努めながら、役場庁舎については26年中の完成、文化交流施設については、同年度末までの完成を目指していく」とした。
定例会の会期は15日まで(予備日は16日)。