厚真町は3日、町総合福祉センターで記者会見を開き、2023年度各会計予算案を発表した。一般会計は胆振東部地震から5年を迎えるに当たり、復旧復興関係の事業を中心に22年度当初予算比で16・8%増の96億6000万円を計上。被災した森林の再生や今後に備えた宅地耐震化事業の継続をはじめ、復興推進事業や関係機関向けの災害対応検証報告書の作成などを盛り込んだほか、重層的支援体制を手厚くし、町民に寄り添った取り組みを展開していく。
国民健康保険事業、簡易水道事業などを含む特別会計は22年度比1%減の23億5500万円。総額は同12・8%増の120億1500万円となった。
主な歳入は、地方交付税が22年度比9・3%増の28億7300万円で約3割を占め、町税が同5%減の14億9300万円を見込んだ。歳出は土木費が同58・1%増の20億9000万円、公債費が同47%増の16億3500万円。
事業内容を見ると、被災森林の造林や被災木の整理をはじめ、豊沢地区や新町地区の宅地耐震化推進事業には継続して予算を計上。震災5年を迎えるに当たっては、多くの犠牲者が出た吉野地区で各世帯のあった場所が分かるように整えるほか、散策路を整備し、遺族など住民の癒やしの場となるようにする考え。また専門家などを招いたフォーラムやシンポジウムの開催を検討しているとした。
宮坂尚市朗町長は23年度でおおむねの復旧事業は完了する見通しを示す一方で、森林再生や宅地耐震化などは「まだまだ年数がかかる。じっくり、丁寧に災害復旧事業を進めていく」と説明。また、重層的支援体制を強化することで「震災や新型コロナウイルス感染拡大が続いたことで生じた住民との心の距離感を詰めるアプローチに努める。個々人の悩みに寄り添っていきたい」と話した。
このほか、保育の質向上などを目的にこども園の運営を手厚くするほか、出産から子育てまでを安心してできるよう相談と経済支援を組み合わせた出産・子育て応援事業を新たに事業化した。一方、新たに建て替える計画の役場庁舎と周辺整備については、今回の予算編成に盛り込まなかった。