災害により道路が寸断されることなどを想定し、中心市街地から離れた地域までドローン(小型無人飛行機)を使って救援物資を届ける実証実験が2日、厚真町内で行われた。遠隔操作による飛行で物資が搬送され、関係者は新たな物流インフラとしてドローンが果たす役割などを確認した。
町は2018年9月に発生した胆振東部地震での教訓と買い物弱者への支援、ゼロカーボンの実現を視野に入れ、ドローン配送の活用を前向きに進める考え。
実験は実現に向けた試みで、電通北海道(本社札幌市)、エアロネクスト(同東京)、物流大手のセイノーホールディングス(同岐阜県大垣市)と共同で行った。国の2022年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金を活用した「社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業」。
町豊丘地区にある豊丘マナビィハウスから4・5キロほど離れた町鹿沼地区の鹿沼マナビィハウスまで、ドローンで救援物資を届ける流れを実証した。飲料水や消毒液、ばんそうこう、救急シートなどの備品を段ボール箱に詰めたドローンは10分ほどかけて飛行し、目的地に到着。現地の担当者に物資を届けた。
豊丘自治会の山路秀丘会長(68)は「町内では高齢化が進んでおり、人や物の移動は深刻な問題。いろんな事態が考えられる中で、配送の選択肢が増える意義は大きい」と手応えを語る。
町の大坪秀幸・復旧復興理事は「胆振東部地震の時には物資の搬送ができずに苦労した地域もあった」と振り返り、災害に強いまちづくりとして「一日も早くドローンを使った物流を実現できるように進めていきたい」と話していた。