日本地域創生学会(事務局東京)は24日、厚真町総合福祉センターで、地域創生やSDGs(持続可能な開発目標)、脱炭素社会の実現と地域社会のあるべき姿について考える「ひと育て・まち育てシンポジウム―協働・共創・共感の実現を目指して―(byカーボンニュートラル)」を開いた。省庁幹部3氏による基調講演をはじめ、胆振東部地震で大きな被害を受けた厚真、安平、むかわ3町の近況について共有した。
基調講演に登壇した農林水産省の林泰三・大臣官房審議官は、農村の高齢化、人口減少について「都市に先駆けて進行しており、平地から山間になるほど顕著」と指摘。「生産力向上と持続性の両立をイノベーション(技術革新)的に実現していかなければならない」と言い、取り組みとして従来の6次産業化を発展させ、多様な地域資源、観光やスポーツ、加工販売などの事業分野と組み合わせることで付加価値を付けることを勧めた。
経済産業省の吉田健一郎・地域経済産業政策統括調整官は、地域未来投資促進法に関する支援措置について紹介し、「地域の強みを生かした取り組みを国として支援していきたい」と話した。環境省の白石隆夫・地域脱炭素推進審議官は、「北海道や東北は再生エネルギーのポテンシャルが高い」と説明。カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出実質ゼロ)の活動により「地域経済の活性化や安全安心な快適な暮らし、災害レジリエンス(対応力)にもつながる」と強調した。
3町の取り組みの報告では、厚真町が公共施設での再生エネルギー導入や廃熱利用による産業の創出を紹介したほか、森林再生やゼロカーボンビレッジの整備など今後の方向性を取り上げた。
安平町は、小さな地域単位で電気を自給自足できるようにする「地域マイクログリッド方式」での分散型再生エネルギーを検討するほか、次年度に向けてカーボンニュートラル推進協議会の設立を目指していることを明かした。むかわ町は防災を先導するまちづくりを進めるため、道内の自治体に先駆けて事前復興計画を策定することや、震災からの復興拠点施設として、穂別博物館と周辺エリアの整備を進める動きなどを報告した。
脱炭素社会などに関心を持つ約70人が、町内外から来場、またはオンラインで参加し、熱心に耳を傾けた。