基礎化粧品製造販売のナチュラルサイエンス(本社東京、小松令以子社長)は23日、白老町虎杖浜の同社工場敷地に立つ旧虎杖中学校の校舎に卒業生や教職員を招待した。旧校舎は昨年12月、文化施設「自然と科学のミュージアム 森の工舎」として改装し開業。訪れた人は施設内を巡りながら、懐かしい気持ちを思い起こしていた。
混雑を避けるために4回に分けて招待し、計約50人が訪れた。案内したのは同社で働く卒業生の五十嵐知恵さん(44、1993年度卒)、平館武さん(26、2011年度卒)、同校最後の卒業生となった大友総士さん(25、12年度卒)。通学していた頃の様子が残る廊下、特徴的な三角形の窓、机やいすなどを紹介した。訪れた卒業生は、改装前の校舎の写真や各年度の卒業アルバムの展示、卒業アルバムの集合写真から作った顔はめパネルなどに顔をほころばせた。大友さんは「最後の卒業生になると分かって通った在学中は、母校はどうなるのかと不安だったが、地元の方々に喜んでいただける場所になり、誇らしい」と笑みを浮かべた。
旧虎杖中は1947年8月1日に開校。88年に校舎を山側へ約1キロ移転新築した。屋根部分の鐘や玄関ロビーの吹き抜けなど近代的な構造が特徴となっていた。生徒数の減少で萩野、竹浦両中学校と統合する形で、2013年3月末に閉校した。
移転新築後の校舎で初の新1年生だった町虎杖浜の会社員、本間淳さん(46、1991年度卒)は同窓生6人で訪問した。10年ほど前に大友さんに剣道をコーチした縁があり、久しぶりの再会を喜ぶと同時に、お互いが最初の新1年生と最後の卒業生だったことを知って驚いていた。
本間さんの友人で町緑丘の公務員、森誠一さん(46)は「ホールに入った瞬間、懐かしさで心がいっぱいになり、思い出がよみがえってきた。校舎の面影を色濃く残してくれてありがたい」とうれしそうな表情。97年度から2001年度まで旧虎杖中に事務職員として勤め、現在は苫小牧西小学校で働く太田教美さん(53)は「勤務時から特徴的な構造を持った校舎に愛着があったので、大事に残してくれていることに会社の温情を感じた」と感謝していた。
同社広報担当者は「今後も定期的に卒業生を迎える企画を実施していけたら」と話している。