白老町は22日、町総合保健福祉センターで2022年度高齢者等虐待防止研修会を開いた。町内の介護施設、行政機関、福祉関連団体などから関係者約70人が参加し、講演に耳を傾け、高齢者虐待の要因や防止策に理解を深めた。
毎年恒例の研修会。今年は講師に特別養護老人ホームひらおか梅花実(うめはなみ)=札幌市清田区=の施設長三井弘巳さんを招いた。
三井さんは、介護人員や教育機会の不足、感染症対策の大変さなど介護現場に多くの課題があることを伝えながらも「虐待を容認する理由にはならない」と指摘。近年多発している高齢者への権利侵害や度重なる虐待報道を当事者目線で受け止め、「なぜ起きた? 防ぐ方法は?」と考えることの大切さを訴えた。
また「虐待は突然発生するわけではなく、不適切な対応がエスカレートして起こる」と説いた。虐待になる前に状況を把握して改善するため、日常的な役割分担や連携が取りやすい職場環境づくりを意識することをアドバイスした。「(改善の)ヒントは日ごろのケアの中にある」とし、「自身の専門性や社会から求められる役割を理解し、信頼される福祉現場をつくり上げる必要がある」と述べた。
講演後、参加者は11グループに分かれ、虐待が発生したというモデルケースから、改善点や適切な対応を見いだす方法を話し合った。
同町では昨年12月、町立介護老人保健施設の職員による入所者への心理的・身体的虐待行為が確認され、同施設が道の行政指導を受けている。