獣医師として軽種馬を診療し、地域の馬産や畜産の振興に貢献してきた安平町遠浅の田上正明さん(65)が、2022年度北海道産業貢献賞(農業関係功労者)を家畜衛生等功労者として受賞した。20日に町役場で及川秀一郎町長に受賞を報告し、「非常に光栄なこと」と喜びを語った。
田上さんは、1980年から獣医師として地域の馬産振興に尽力。88年からは道家畜畜産物衛生指導協会の委嘱獣医師として、胆振管内の家畜自衛防疫組合の活動に力を注いだ。2001年からは家畜防疫員として馬伝染性貧血や子宮炎の清浄化に努め、11年からは胆振獣医師会の理事や副会長を歴任した。
日高地区農業共済組合、社台ファームでの勤務を経て、1992年9月に社台ホースクリニックを開院。60歳で定年退職する2018年2月まで、最前線で軽種馬などに治療、手術を施してきた。「最初の頃は試行錯誤だった」と当初を振り返りながら、「競走馬が復帰して活躍してくれるのが何よりうれしい」と仕事へのやりがいを話す。
現在は同クリニックの技術顧問の傍ら、帯広畜産大学の特任教授を務めるなど後進の育成、指導にも力を注いでいる。「体力勝負。元気なうちは何とか続けたい」と今後に向けて意気込みを語り、「今まで救えなかったことが救えるようになったり、できなかった手術ができるようになったりしてきた。技術が進んでいる欧米に追い付いていかないと」と思いを新たにしていた。