【中学生向け】
「わたしが障害者じゃなくなる日~難病で動けなくてもふつうに生きられる世の中のつくりかた」
著 海老原宏美
この本の著者、海老原宏美さんは脊髄性筋萎縮症という病気で車いすが無いと生活できません。誰かの助けが無いと階段を上ることができず、重度障害者と呼ばれています。
しかし、海老原さんはこう言います。「障害」は階段を上れない私ではなく、階段しか無いこの建物だ、と。
海老原さんは、誰かの助けがあれば1人で出掛けられるし、短いストローを使ってお酒を飲むこともできます。素早く動くことはできませんが、小学校の頃の運動会では、放送委員や鼓笛隊として活躍したそうです。
助けを借りればできることを、周りの人に迷惑を掛けてはいけないと遠慮してしまう心。それが一番の「障害」なのかも知れません。
皆さんもこの本を読んで「障害」とは何かを改めて考えてみませんか。
(旬報社 税込み1650円)
苫小牧沼ノ端中学校
庄司圭佑
【中学生向け】
「きみの存在を意識する」
著 梨屋アリエ
同じ中学に通う2年生が、それぞれに悩みを抱え語っていく物語である。どんなに努力してもなかなか文章が読めない、ひすいと言う女の子。小さな時から男の子に見られる女の子のリキ。答えが分かっているのに書くことのできないコハル。大人の期待を常に感じて過食気味の小晴など。
でも、みんなが悩んでいることは、周りが少し広い視野で話を聞いたり、配慮されたりすることで本人には生きやすい世界に変わっていく。文字が書けなければパソコンやタブレットの使用を許可されれば、得意な分野でもっと活躍できる。
話を聞いて、つらさを理解してくれる人がいるだけで、今まで自分のことしか考えずわがまま放題だった子が友だちに謝れる。
でも、なかなか大人に理解してもらえないもどかしさに揺れる中学生の心情をリアルに描いた本である。
(ポプラ社 税込み1650円)
苫小牧凌雲中学校
山口敦子