「こんにちは、聞こえますか」―。24日午後2時、苫小牧市内の拓勇東町内会で高校生役員たちによるオンライン会議が始まった。高校生役員は4人で、駒大苫小牧高校2年生の小島未久さん(16)と小山はるかさん(16)、同校1年生の斎藤圭馬さん(15)と、苫小牧東高校1年生の生駒翔太郎さん(15)。各自宅からスマートフォンやパソコンの画面越しに同町内会総務部長の佐藤一美さん(50)の進行で、感染対策を講じながらの町内会活動について話し合う。会議は終始和やか。「学校は勉強だけだから、町内会活動があってよかった」。そんな言葉に、うなずき合う姿も見られた。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、学校が休みだった5月、同町内会ははがきを用いた交流事業を企画し、休校中の高校生役員にも協力を求めた。昨年度の敬老会に出席した75歳以上の約220人に宛てたはがきのメッセージ書きを、4人で90枚分を引き受けた。それぞれの文面には個性が光った。
「休校中にできた趣味や外の景色について文章で伝えられるようにこだわった」と小山さん。斎藤さんは動画投稿サイト「ユーチューブ」を見て練習した絵手紙を添えた。生駒さんは「今年から高校生役員になったことに触れ、体に気を付けて下さい、と書いた」と振り返る。小島さんには後日、受け取ったお年寄りから感謝の手紙が届き、「自分のはがきで喜んでもらえたのが、うれしかった」と頬を緩ませた。
学校は6月に再開したが、感染予防に気を配る毎日。学校行事が中止や延期となり、夏休みも短縮し、勉強に追われ、小山さんは「学校祭が、今年はできなくなるかもしれないのが残念」。生駒さんも「中学校の卒業式も高校の入学式も、コロナの影響で縮小してしまった」。学校生活を満喫したいが、友人たちとの間でコロナに感染したり、または感染させたりする不安も明かす。心境は複雑だ。
だからこそ町内会活動に携わることには「やりがいがある」と口をそろえる。斎藤さんは「勉強だけの方が、大変かも」と苦笑い。小島さんは「いろんな行事で楽しい思い出がある。地域の人たちにお世話になってきたので、恩返しもしたかった」。さまざまな思いを抱え、ふるさとと向き合う若者たちがいた。(河村俊之)