―ウポポイで働くきっかけは。
「高校卒業後、札幌学院大に進学し、学芸員の資格を取りました。北海道の歴史、アイヌ語やアイヌ文化の勉強を始めたのは大学生になってからです。学芸員になるためにもっと勉強しようと思い、北海道大大学院に進みました。博士後期課程に進学すると同時に、旧アイヌ民族博物館でアイヌ語アーカイブ事業の臨時職員として働き、少しずつ学芸課の業務に関わり、学芸員として働くことになりました。自分の研究テーマであるアイヌ語やアイヌの物語に関するイベントに携わってきました」
―どのような準備をしてきましたか。
「特に博物館の展示に関わる業務をしてきました。基本展示でアイヌ語に関する『私たちのことば』を担当しています。アイヌの物語を紹介する『囲炉裏(いろり)モニター』や、アイヌ(人間)とカムイ(いわゆる神)との関わりを伝えるアニメ『カムイとくらす世界』など、物語に関連する映像コンテンツを担当でき、とてもうれしかったです」
―アイヌ文化を伝える上の苦労や工夫は。
「世界中にはいろいろな文化があり、いろいろな生き方があり、いろいろな考え方があります。そういった違いがある中で、自分は学芸員としてどんな解説ができるだろうかと、いつも考えています」
―ウポポイで自分が伝えたいこと。
「アイヌ語は方言差、アイヌ文化も地域差があります。私は沙流川流域のアイヌ語や文化を勉強してきましたが、ポロトコタンで働くようになってから、白老のことも勉強し始めました。山で暮らすアイヌ民族と海で暮らすアイヌ民族の違うところと同じところ、知れば知るほど面白いこと、疑問に思うことがたくさんあり、とてもわくわくしています。国立アイヌ民族博物館は各地のアイヌ語、アイヌ文化を展示しているので、そのようなアイヌ文化の地域差や多様性も、きちんとお伝えしていきたいと思います」
(終わり)
※(この企画は金子勝俊が担当しました)