形見

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年6月27日

 つらい葬式がある。急病や事故、遺族席の若い配偶者と幼子、送る親の気丈な笑顔―。新聞のおくやみ欄の、死者の年齢を見て、いくつかを思い出す。

 われの子の 愛せし花の記憶なし 墓の廻りに 玉砂利を敷く

 (2013・8・13)

 7年前の冬に、教師だった長男を亡くした高校時代の先生から、折々に書き留めた歌が送られてきた。学生服やセーラー服姿の中高生、背広を着た教え子たちが会場を埋めて、ふっくらとした、明るい笑顔の遺影を見上げる葬式だった。教え子のひとりが教えてくれた。「父を病気で亡くした時『寂しくなったらいつでも来い』と丸くて温かいおなかを触らせてくれました」。そんな先生だった。

 父親と息子は、どんな話をして過ごすものなのだろう。教師だった父の背中を見て育ち、追うように教職に就いた息子との間でも、「もっと話しておけばよかった」と思うことがたくさんあったようだ。墓を訪れた父が、息子の好きな花は何だったろうか―と改めて考えて、会話の欠落に気付く。

 吾子逝きて 五年動きて今朝止まる 不意に形見となる腕時計

 (2018・1・20)

 人にも物にも、生きられる時間の区切りがある。分かっているつもりでも、別れの時を思念の向こう側に置いて過ごし、その訪れに驚く。動かぬ時計を何度も耳に当て、何度も揺すってみる。あの日のように。そして、諦める。(水)

こんな記事も読まれています

    •          苫小牧民報創刊75周年記念講演             豊丘村制施行70周年記念講演 入場無料 三國清三シェフ 「70歳からの挑戦」   講師 三國 清三 氏 日時 6月7日(土) 令和7年 開演15時

    • 2025年7月22日
  • テストフリー広告

       苫小牧民報社創刊75周年記念講演会 入場無料  【講師】アルピニスト 野口 健氏  【演題】富士山から日本を変える  ~山から学んだ環境問題~  日時・会場・申込・問合せブロック  2025年(令和7年)8月9日(土)

    • 2025年7月18日PR
    テストフリー広告
  • テストフリー広告

       <!DOCTYPE html>  <html lang=”ja”>  <head>  <meta charset=”UTF-8″

    • 2025年7月18日PR
  • TEST
    • 2025年7月15日
  • TEST
    • 2025年6月26日
ニュースカレンダー

紙面ビューアー