出光興産北海道製油所(苫小牧市)の大規模定期補修工事で、道が新型コロナウイルスの感染防止の観点から工事作業員を石狩管内に宿泊させないよう求め、千歳の宿泊施設の予約に大量のキャンセルが生じた問題で25日、千歳市内7ホテルの代表6人が道に補償や支援を求める4項目の要望書を提出した。土屋俊亮副知事は要望書を受け取った後、取材に応じ「キャンセルの事実は非常に重く受け止めている。今回の措置は道民の感染拡大防止の観点と経済の両立でやらざるを得なかった。要望内容を検討し回答したい」語った。
ホテル側が要望した内容は(1)出光興産と工事関連事業者に、以後の宿泊は千歳市内の宿泊施設で行う旨の書面要請(2)キャンセルされた宿泊分は十分な補償、もしくはこれらを補う施策の実施(3)宿泊事業者の当面の資金繰りを維持するための支援(4)新型コロナ感染症により、影響が大きい措置を講じる場合は千歳市と事前協議すること―などを求めている。
この日は、土屋副知事が千歳市入りし、市内のホテルで要望書を受け取った。宿泊事業者の代表は「予約のキャンセルは6法人7施設で1万5000泊。損害額は1億5000万円に上る」と明かした。出席者からは「1年半をかけて調整してきた宿泊が寸前でのキャンセル。予約は戻っていない」と厳しい表情で状況を訴えた。さらに「タクシーや飲食業などすべての観光業者にも波及している」と影響の大きさを指摘した。ホテル側は要望に対する道からの回答を待って「今後の対応を決めたい」としている。
出光興産北海道製油所の大規模定期補修工事は、国が法律で定める4年に1度の保安検査で15日から始まった。今回は新型コロナウイルスの感染防止のため、工事内容を25%縮小、作業人員も当初の1万人から5700人に削減し、9月中旬まで行われる。