日本に生息する野生のクマは、青森以南にすむツキノワグマと北海道にすむヒグマの2種類。ツキノワグマはやや小型だが凶暴性ではヒグマに劣らず、東北各地では毎年、大小の人身事故がある。
秋田市では昨年11月、ツキノワグマがスーパーマーケットに侵入し職員を襲って店内に潜伏。商品を食べるなどして過ごし、その後駆除されている。12月23日には福島県喜多方市で体長90センチほどのツキノワグマが、家主が留守中の屋内に入り、こたつに頭からもぐって暖まっているところを帰宅した家主に見つかった。室内にあった菓子を食べたり、壁に寄りかかって過ごし、こたつが気に入ったのか逃げる様子はなかった。頭から布団にもぐったところを主人が描いた、お尻と後ろ脚だけのスケッチや首から下をこたつに入れてくつろいだ動画の横顔はコアラのようで、失礼ながらかわいい。麻酔入りの吹き矢を撃たれ冷たい雪の山に放されたとか。人にもクマにも、学ぶべきおきてがある。安易な同情は禁物だ。
秋田県内ではその後も冬眠しないツキノワグマが各地で目撃されにぎやかな春到来を思わせる。道は12月に2023年度のヒグマ捕殺数を発表した。前年度のほぼ倍の1804頭。厳しくとも共存への道か。教え、学び合う春が近い。(水)