全日本選手権・クルーザー級 苫小牧出身 大野 毅人(日体大) ボクシング 卒業前に悲願の栄冠達成

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  • 2024年12月21日
3回を終え、判定で勝利した大野=1日、墨田区総合体育館(提供)
3回を終え、判定で勝利した大野=1日、墨田区総合体育館(提供)
クルーザー級1位の表彰台に上がった大野(右)=同
クルーザー級1位の表彰台に上がった大野(右)=同

  苫小牧市出身の大野毅人(22)=日本体育大4年=が全日本ボクシング選手権(11月26日~12月1日、東京都)に出場し、アマチュアでは上から2番目に重いクルーザー級で初の栄冠に輝いた。前回は準優勝と涙をのんでおり、決勝では1回の劣勢から逆転でかわし、「相手と距離を詰める自分らしいボクシングを続けてきて学生として最後に優勝できた」と大きな喜びをかみしめている。

   アマチュアの国内頂点を競う3分3回制の戦い。クルーザー級では各ブロック予選などを通過した強豪4人がトーナメントで競った。前回も同階級で挑み、このときの敗因を「攻めきることができなかった」と踏まえて今年は猛トレーニングを重ねた。

   ボクシングジム4カ所に頼み、”出稽古”に行って数々の選手と対戦しながら試合感覚を研ぎ澄ませた。このうち多くのプロを輩出してきた都内の名門、帝拳ジムでは、かつての日本チャンピオンやプロボクサーと手合わせできたことで「本番の試合に近い状態で練習できた」と手応えを語る。

   準決勝の対戦相手には完勝し、迎えた決勝の相手は2年前の大会で1度だけグラブを交えて下した王師(中央大3年)だった。昨年度までヘビー級ランカーだった王は今回、1階級下げたクルーザー級で勝負をかけてきた。大野は戦前から「勝てる自信はあった」と闘志をみなぎらせたが、1回を判定で奪われた。ゴングから打ち合って「思った以上に相手のパンチが重かった。自分の体の動きも悪かった」と振り返る。

   その後は冷静さを取り戻して挽回し、攻勢をかけた。最終の3回にスタミナが切れた王に距離を詰め、有効打を連続して浴びせた。下がらずに圧倒する試合運びで、試合トータル4―1の判定勝ちし、悲願をかなえた。

   勇払小3年までに全国大会の「カラテ甲子園」ジュニア部門で3連覇を成し遂げた空手道経験者。速いハンドスピードが身上。間合いを詰めて手数を多く放つスタイルで「『パンチの回転力』を(空手で)身に付けられた」と語る。

   ボクシングを始めたのは勇払中の頃。父暁史さん(50)と千歳のボクシングジムに通うなどして、二人三脚でミット打ちのトレーニングを絶やさずに続けた。恵庭南高時代には高校総体や国体で何度も入賞を果たしてきたものの優勝経験はなかった。

   悲願の初優勝は全日本タイトル獲得となって一番高い表彰台上で周囲の祝福に満面の笑みで応えた大野。大学卒業後は地元苫小牧で就職予定という。「ボクシングに限らずキックボクシングや空手をこれからも続けていきたい」。社会人として格闘技の修練を続ける考えだ。

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