◇7 民報って何? 認知されるように

  • 特集, 記者ノートから2024
  • 2024年12月20日

  「民報って何ですか」。11月中旬、取材で訪れた厚真町内の小学校で3年生の男子児童に言われた。「新聞だよ」と答えたが、その子の表情は疑問を持ったままだった。「恐らく家庭で新聞を読んでいないのだろう」と推察した。入社16年目だが、今まで投げ掛けられたことのない言葉で、しばらく印象に残った。

   記者も小学生の頃は実家で苫小牧民報を購読しておらず、他紙の朝刊を取っていた。だが、民報杯をはじめ社名を冠したスポーツの大会などがあり、新聞は読まずとも存在自体は知っていた。これまでも仕事で小学生に行事の感想を求めた場合、特に疑問を持たれることはなかった。

   認知度低下には、部数の減少傾向が関連しているとみられる。入社した2009年は休刊した千歳民報を合わせ、公称6万部だったと記憶している。会社のホームページを見ると、それが現在は同4万600部。

   業界の将来について考えながら同じ日、むかわ町で開かれた会議に出ると、同席した鵡川高校の女子生徒から「民報の人だ」と言われた。その生徒とは、同校が探求学習の一環で取り組んだアイスクリーム開発の取材で何度か会っていた。面白い話題だったため、複数回記事を書いていた。

   新聞の発行部数減少は全国的な傾向だが取材で地域住民と会う中で、名前は覚えられずとも、「民報さん」として認知されるのだと改めて感じた。会社は来年で75周年の節目を迎えるが、あぐらをかいているとあっという間に立ち行かなくなる可能性もある。

   地域密着の仕事スタンスを変えるつもりはないが民報がもっと住民に知られ、購読を生活に必要な支出と捉えてもらえるようできる限り胆振東部3町を回りたい。

 (室谷実)

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